経済成長のために行うべきことは? ①

日本が20年以上経済発展していないことは多くの人が知っていると思います(下図:YAHOOニュースより引用)。

日本は1995年くらいからほとんどGDPは成長していません。アメリカや中国の伸びが激しくそこに目が行ってしまうんですが、欧州各国もそれなりに伸びているのが解ります。日本はどうしてこんな状態になってしまったんでしょうか、悲しい限りですね。

 

まあ、悲観ばかりしていても仕方が無いので、どうやったら再び経済成長できるのかをコンサルタントとしての知識も交えながら考えてみました。

 

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このグラフを見て考えるべきことは書きの3点ではないかと思います。

①日本ほどではないが、先進国と言われる欧州各国も経済成長率は低い。

②先進国の代表であるアメリカは高い経済成長率を維持している。

③中国の急激な成長はある程度予測されたものであるが、伸び率がすごい。

まあ中国の発表した数字は信用できるのかという事ありますが、実感的にも急激に伸びているのは間違いないですね。

これらのことから考えられるのは、いわゆる先進国は(日本も含めて)あまり経済成長していませんが、これはどこの国も経済成長できる新しい産業を開発できていないからだと思います。過去先進国が成長してきた産業基盤が弱体化し(正確には中国を含めた発展途上の国々にシフトして行った)、それに代わる新しい産業基盤を構築できていないのが原因だと思います。

 

中国が急激に伸びているのは、先に述べた産業基盤の移転の結果だと思います。要は欧州・米国が今まで国内で作っていたものを、安いコストで請け負う事により輸出が大幅に伸び経済成長して行ったという事ですね。日本も含めて後進国が中進国に脱皮するときに表れるパターンであり、ある程度予測できたことです。

ただ中国がすごいのは成長率がちっとも衰えていないことです。14億というの国民の数がその原資になっているのかもしれませんが、成長し始めて20年近くたっているのに伸び率が衰えないのが本当にすごい所です(だから数字は本当か?と言われることになる)。

 

実はこのグラフで一番驚くべきところは、アメリカなんですね。いわゆる先進国でも先頭を走っている国が、ずっと成長を続けている(それも高い率で)と言う所が最大の着眼ポイントです。普通だったら欧州各国と同じような成長率になっても仕方が無いのに、なぜこんな成長率を続けることが出来るんでしょうか? この謎を解くことが日本が再び経済成長して行くためのヒントになるだろうと思います。

 

まあこの原因を知っている人は多いと思いますが(クイズにもならない)、このアメリカの成長を支えているのは金融とITであることは間違いないと思います。これを支えているのが国民性?なんじゃないかと思います。

アメリカの金融は巨大な金融資本が中心となって動かしていますが、アメリカのすごい所(本当にすごいのか?)は、金融政策を打ったらちゃんと市場が反応するという事ですね。金利を下げたらそれなりに借り入れは増えるし、金利を上げたらその逆です。資金の流通量を増やしたらちゃんとインフレ基調になるんですね。これは金融政策が的を得ていると言う事になるんでしょうが、日本が色々な金融政策を打っても、全く市場が反応しないのとは大違いです。

それともう一つはIT及びIT技術を基盤とした巨大な市場を作り上げたという事でしょう。皆さんご存じのGAFAMと言われる巨大に成長した企業群が新たな市場を作り出すとともに、数多くの雇用を生みだすことによってアメリカの経済成長を後押ししてきたわけです。

 

ちょっと話が長くなりそうなので、とりあえず今回はここで終わりにします。続きは木曜辺りにアップしよと思いますので、よろしくお願いします。

 

 

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オリンピックやるの?

社長ブログで政治が絡むことはあまり書きたくないのですが、今回の緊急事態宣言の延長などを含めてあまりに政治的パフォーマンスが甚だしいので、ちょっと気になることを書いてみます。

特に今回の混乱に拍車をかけているのがオリンピック問題ですね。開催するのかしないのか、その判断が揺れているので様々な部分の政治的判断に影響を与えているように感じます。

そもそも大阪と違って東京が緊急事態宣言を延長したのは全くの謎ですね。今まで緊急事態宣言を発令する根拠は医療崩壊を起こさせないためで、重症病床の使用率が緊急事態を宣言する重要な要素であったはずですが、現在の東京の重症病床使用率は30%以下なのに何で延長するの? PCRの陽性率もピークは越えたように見えるのに何で? と言う感じですね(大阪は医療崩壊状態なので止む無し)。

世界的に見てもワクチンの接種が進んでコロナを克服したと言っているイギリスの陽性者数と、感染が拡大していると言っている日本の陽性者数がほとんど同レベル(100万辺りイギリス212人、日本266人)なのに何で緊急事態を延長する必要があるの?と言う感じですね。

今の報道を聞いているとオリンピックをやろうとしているのか、止めようとしているのかちっとも分りませんが、この開催問題で政治家同士が色々な綱引きをやっていることだけは分かりますね。国と都(たぶん都知事だけ)のどっちが勝つか分かりませんが、迷惑をこうむっているのは国民なわけですから、どうするのか早いとこ決めてもらいたいもんですね。

そもそも今回のオリンピックは最初からケチが付きまくってますね。オリンピックのロゴ問題から始まり、オリンピック誘致時のワイロ問題、国立競技場のデザイン問題、予算の異常拡大問題、マラソンは札幌でやろう問題(もっと過酷なトライアスロンは東京でやっていいのか?)、ボート会場の汚染問題、最近では開会式のブタ演出問題など枚挙にいとまがありません。そして最大の問題がコロナ問題です。そもそも他国で選手の選抜は進んでいるんでしょうか? 報道が無いから判りませんが、無理やりオリンピックを開催したけど、国体みたいだった! という事にはならないんでしょうか(そうなれば金メダル数が激増!)。

色々とケチがついているオリンピックですが、最後の大きなケチが今回の混乱になればそれはそれでいいんじゃないかと思います(中止になったらそっちの方が大きなケチになりますが)。

まぁ今の状況を客観的に見て、開催可否のポイントになるのは以下の4点ではないでしょうか。

①決めるのはIOCであって、IOCが日本の感染状況をどう見るか

②日本のワクチン接種に一定の目途がつくかどうか

③諸外国が選手をちゃんと選抜できているのか

④国内世論の状況(歓迎とは行かなくても、反対はしないレベルになるか)

この辺がキーになると思います。最大の懸案事項はやはりコロナの感染状況でしょうが、世界的に見ると日本はコロナの封じ込めに成功した国という認識を受けているようですから、今後日本でのワクチン接種が進めばIOCもGoをかけると思いますね。

ただ仮に開催されたとしても、どれだけお客さんを入れるかと言うと未知数ですね。現在の状況で野球は5000人ほど人を入れるようにしていますから、かなり人数制限を行ったうえで開催するかもしれませんし、安全を見て無観客にするかもしれません。まぁこの辺はIOCと政府の協議の結果を待つしかないですね。

私はそもそもオリンピックが開催されたら見に行きたい派(ソフトボールの3位決定戦とサッカー準決勝の試合はチケット取っていた)ですから、行けるんだったら行ってみたいですね(ただ無理してまで観客を入れる必要はないと思ってます)。

結局今回のオリンピックの混乱は政治がしっかりと動いていなかったから生まれた問題でもあります(コロナが始まって1年間何をしていたの?)。そもそも重傷者病床数が十分にあればこんな大騒ぎにもならなかったでしょうし(特に大阪)、緊急事態前言自体を出す必要もなかったと思います。

政治は駆け引きやパフォーマンスを止めて、重症病床の拡大、治療薬の開発と言うよりも認可に全力を挙げて、本当の意味でのコロナの収束を図って行ってもらいたいと思います。

新商品開発③

今回はしっかりと新商品開発の話を書いていこうと思います。

企画型新商品開発の話ですが、何回か説明した通り企画型新商品開発とは従来製品の単純な延長線上にはない新商品であって、新たな顧客の獲得や従来の製品の売り上げを落とさずに純粋に売上げ増や利益増、新たな市場開拓につながる新商品を開発することです。

 

前回のブログで戦略眼(商品企画力)の必要性について書きましたが、まさに企画型の新商品開発では、この戦略性をもって新たな商品の位置づけから考えて行くという事になります。

この位置づけを考えるときに必要なのは、「商品」「技術」「市場(顧客)」という3つの視点です。「商品」とはまさに作っている製品の事であり、製品が持っている機能や付加価値、他社製品との差なども含めて「商品」という事になります。

「技術」とはいくつかの見方があるんですが、基本的には商品を作るための技術が対象となります。加工の仕方や組み立て方、素材の材質や加工精度など使用する設備も含めて「技術」という事になります。当然ながら設計技術や品質などを含めた管理技術も対象になりますね。

「市場(顧客)」とはまさに販売先(お客さん)のことであり、販売ルート、業界を含めて対象となります。

 

この3つの視点は基本的に企画型新商品開発でも製造型新商品開発でも同じですが、企画型新商品開発ではこれらのうちの2つを変えるか、市場を変える場合が対象となり易く、製造型新商品開発では商品か技術のどちらかを変える場合が多いと思います(あくまでも基本的にはという話です)。また、新商品開発フローはかなり違うので、しっかりと理解しておくことが必要です。

 

企画型新商品開発のフローを簡単に解説すると、最初に行うのは過去からの新商品開発の棚卸ですね。過去の歴史の中でどのような商品を作ったのか、どのような顧客と付き合っていたのか、どんな市場で販売していたのかを知ることは非常に大事ですね。なぜなら失敗した歴史を学び、その原因をしっかりと把握しておかなければ、同じ失敗を繰り返してしまう事になってしまいますからね。

 

次いで行っていくのは製品時系列分類と言って、過去から作った製品を時系列の中で整理しなおすという事です。一般的に製品時系列分析は系統樹的な表現になり、1つの製品から機能を分けて2つにしたとか、完全に流れ途切れた製品が複数あるとか言う事が解ってきます。ちなみに系統樹とは製品の因果関係を示したもので、分かり易いものとしては「進化の系統樹」なんかがあります。サルと人間の祖先は同じで、300万年前に別れた。人の祖先も複数の分岐を繰り返してきたが現生人類以外は進化の途上で絶滅してしまった。と言うやつですね。

 

実はこれ以降はまさに企業によって様々という事になりますが、色々な分析手法やマトリックスなどを使って、今後の成長が見込める市場はどこなのか、その中で自社の技術を使って作れるものはあるのか、既存の市場であっても参入していない分野はあるのか、自社技術で作れなければ協力メーカーに依頼できないのかなど、色々な検討を加えて行く事になります。この検討は一見ムダなように見えますが、じつはこの考える工程が非常に大切で、答えを聞いて動くのではなく、答えを見つけるために動くという事自体が製品開発力アップにつながってくるのです。

 

この新商品開発の流れを何回も繰り返せば、具体的な動き方が身についてきます。ただ社内に新商品開発部門がある会社でも実は企画型の商品開発を行っているところは多くありません。大抵は現在の商品の延長線上の開発を行っていることがほとんどで、市場を新たに開拓する新商品開発につては十分な経験を持っていない所が多いのも事実です。

 

この企画型新商品開発を行う上での絶対に注意しないといけないポイントが1つだけあります。それは「利益が出ている内に実施すること」です。実際問題として赤字が積み重なってからの新商品開発は、起死回生の一発や大物狙いに特化する傾向が強くなって成功確率自体が低くなることに加え、資金不足で十分に動くことが出来ないことも多いので、その辺は注意してください。

 

非常にざっくりと企画型新商品開発の説明を行ってきましたが、どうだったでしょうか。本ブログを参考に積極的に新商品開発に力を入れていただければ幸いです。

 

 

ちなみに5月からこの企画型新商品開発の研修を行いますので、興味のある方は参加してもらいたいと思います。Web使用の半日×6回のセミナーです。

 

企画型新商品開発研修

新商品開発②

前回のブログで新商品開発には企画開発型と製造開発型があり、今後市場の大きな変化に対応できるようにしていくためには企画開発型の新商品開発が不可欠であるという話をしました。まぁこれは市場が大きく変化しなくてもやっていくべきことでもあるんですが、やはり会社全体に危機感が行き渡っているときの方が新商品開発においても迅速に進むのは間違いありません。

 

企画型新商品開発とは企画先行で今まで作ったことの無いような製品を作るという事で、今までの自社製品と機能的に重ならない、もしくは市場的に重ならない製品を作る新商品開発(新事業開発)という事になります。簡単に言うと今まで作っていた製品の直接の延長線上の商品ではなく、新たな位置づけを得る商品の開発という事ですね。

 

実はこれがなかなか難しくて簡単にポンと出来るものではありません。前回のブログでも製造開発型の新商品開発は顧客ニーズをベースに発進することが多いため、ある程度進むべき方向性も決まっていますし、開発計画も立てやすい傾向がありましたが、企画開発型では進むべき方向性自体を自ら決める必要がありますし、方向性が決まった後でも具体的な商品決定までに決断すべきことが多いため中々進みにくいのです。

 

いわば「戦略眼」が必要であって、市場の変化に対して時間的・空間的なイメージをもって対処することが必要になります。日本企業は明確に方向性と基準を与えられたら、無類の強さを発揮します。言わば個々の課題に対する「解決力(戦闘力)」と言う部分においては世界最強クラスだと思いますが、残念ながら「戦略」と言う部分においてはかなり劣る部分があるのは否めない事実であろうかと思います。

 

実際に数年前から欧米を中心にCO2削減の大きな流れが起こっていますが、その進め方において日本は損な約束ばかりしています。簡単に言うと現在のCO2削減の基準は、EUは1990年で(東ヨーロッパ諸国がEUに入る前)、2030年までに55%削減しようというのが目標ですが、東ヨーロッパ諸国がEUに入っただけで平均のCO2排出量は大きく下がるわけですから比較的容易な目標なわけです。

 

それに対して日本は2013年比で46%下げようという話です。2013年当時でも日本の省エネ技術は相当発展していましたから、既にこの頃はEU諸国と比べてもCO2排出量は非常に少ないレベルです。ここを基準にしてさらに46%下げるのはとんでもなく難易度が高い話なんですね(なんでこんな決定をしたのか意味不明ですね)。

 

他にアメリカや中国も目標を設定していますが、そもそも守る気がありませんから、いくらでも約束はするわけです(なぜか米中は周囲から批判されないし、批判されても無視する)。日本が周囲の批判に弱いという事をEUは知っているので、日本を標的にしているわけです。まあ最終的には約束を守れない日本にCO2排出権を売ろうとしているんではないかと思います。またEUや中国は日本の経済発展が潜在的に怖いので、CO2排出問題で経済成長に制限をかけておきたいというのも本音でしょう。

 

他にも過去にはクジラの問題もありましたね。IWC(国際海洋法条約)という費用の大半を日本が出している団体で、クジラを取るなの大合唱が起こっていました。そしてグリーンピースなどの団体が日本の捕鯨船の邪魔をして寄付金をゲットするという事をやっていましたが、日本がIWCを脱退すると全く話を聞かなくなりましたね。要は日本を非難する枠組みを作れば、日本の反日団体や欧米の団体からお金をゲットできるという事だったんですね。ですから日本が鯨の生息数など科学的なデータを出しても全く何の意味もなかったわけです。

他にもオリンピックのルール問題やISOと言う枠組み、他にも各種規制など日本を排除する取り組みは昔から数多くあります(大体ヨーロッパ発のものが多い)。

 

 

話がだいぶ新商品開発からそれてしまいましたが、要はEUなどヨーロッパの国々は非常に戦略眼に優れ、新たな枠組みを作る事が非常に上手なわけです。自分たちが有利になる条件を巧妙に仕掛けて、利益を得ようという取り組みですね。日本は逆に戦略を作る力は弱いので、決められた不利な枠組みの中で努力して何とかしようとするわけです。ですから、日本が強くならないといけないのはこの戦略眼ですね。戦略眼が強くなれば元々戦術や戦闘力は強いわけですから、勝ち残って行けるわけです。

 

これは企業においても同様です。最初に述べたように日本の企業は戦略(商品企画)が弱いので、良い技術を持っていても十分に売れないわけです。ですから戦略(商品企画)を強くするための取り組みが、大きな市場変化が起こる可能性の高い現代において非常に重要になるわけです。

 

今回は話がだいぶそれてしまったので、企画型新商品開発の話はまた次回のブログで書いていこうと思います。

 

 

ちなみに5月からこの企画型新商品開発の研修を行いますので、興味のある方は参加してもらいたいと思います。Web使用の半日×6回のセミナーです。

 

企画型新商品開発研修

 

新商品開発力

先日、ある食品メーカーの社長さんと話をしていたのですが、そこで話題になったのが「コロナで急激にビジネス環境が変わってきた」と言う話です。

事実、食品業界であってもお土産品、テーマパーク関連業界などの需要は大幅に減少し、25~50%の売り上げ減は当たり前と言う状況です。外食系も同様ですし、宅配の増加によって売れ筋も大きく変わって来ています。つまり今まで当たり前と思っていた環境が急激に変化し、何も変化できずにいるとあっという間に置いて行かれる、売上の大幅な減少に見舞われるという事です。

それに加えて(コロナとは別ですが)自動車産業の大幅な変化も予測されています。自動車の販売台数自体が今後低迷(カーシェアの増加、個人所有の減少)することに加えて、EV(モーター駆動自動車)が急速に広まれば、もう日本国内で自動車を作る事は無くなるんじゃないかと言う心配ですね。

 

このような急激な変化が来た時に企業はどうすべきかと言う事を考えて行くと、最終的には変化に対応できる身軽な組織を作っていく事と迅速な経営判断、そして環境変化に即応する形での新商品開発という事になるんじゃないかと思います。

そういう意味では大企業ほど今後生き抜いて行く事が難しくなるんじゃないかと思いますね。まあ私どもがコンサルティングをしていても、大企業の社員や管理職者は危機感の薄い人が多く、会社がこのままずっと存続することに何の疑問も抱いていない人が結構多いですからね(少なくとも自分がいる間は大丈夫・・)。これは大企業の100%子会社にも当てはまります。

 

先に述べた環境変化に即応する新商品開発が重要なのは多くの人が納得することではないかと思います。実際問題として売り上げが急激に減ってきた場合にそれを補う新商品もしくは市場開拓が出来なければ、あっという間に企業は傾いて行く事になります。そういう意味では新市場開拓や事業開発も含めた新商品開発という事になりますね。

ただ注意しておいてほしいのは新商品開発にも2パターンあるという事ですね。

  • 企画型新商品開発
  • 製造型新商品開発です。

企画型新商品開発とは企画先行で今まで作ったことのないような製品を作るという事で、今までの自社製品と機能的に重ならない、もしくは市場的に重ならない製品を作る事がメインの新商品開発(新事業開発)という事になります。

それに対して製造型新商品開発とは、基本的に現在の商品の延長線上にある商品開発で、顧客の要望に応えるために改良した新商品、OEMやPBなども含まれます。いわば企画主導ではなく顧客ニーズ主導の新商品開発ですね。

今回の話で重要になってくるのは企画型新商品開発という事になります。一般的な新商品開発では「何を作るか」が最重要ポイントですが、企画型新商品開発では「どんな市場に」「どんなサービス(機能)を提供するのか」が最重要ポイントであり、それを満たすための商品を企画し商品化して行くという流れになります。そういう意味では難易度が高い新商品開発ですね。

 

ただ先に述べたように、市場に大きな変化が起こった時に迅速に対応していくためには、この企画型新商品開発力を常日頃から上げて行く事が必要なわけです。特に日本企業ではどちらかと言うと製造型新商品開発(顧客ニーズ対応型)は非常に素晴らしいものを持っています(技術開発力を含めて)が、自ら市場やニーズなどを考えて行く企画型新商品開発は苦手にしている企業が多いように感じます。

そういう意味で今後はこの企画型新商品開発力を上げて行く事が必要なわけですが、この企画型新商品開発に関しては次のブログで説明して行きたいと思います。

 

 

ちなみに今回この企画型新商品開発の研修を行いますので、興味のある方は参加してもらいたいと思います。Web使用の半日×6回のセミナーです。

 

企画型新商品開発研修

レジ袋有料化の結果は?

最近日本のセクシー環境大臣は全ての家にソーラーパネルを設置する!と息巻いているみたいですが、周りは誰も注意しないんでしょうか?(見放されているのか?)。

まぁその環境大臣鳴り物入りで始めたレジ袋有料化が始まって9か月たちましたが、結果はどうだったんでしょうか?

環境省自体がレジ袋の流通量削減と言うよりも、環境問題に対する意識啓蒙がメインと言ってますから(レジ袋削減→プラ削減→石油削減→CO2削減→温暖化防止!!)、流通量が増えようが減ろうが成功したと言い張るんでしょうが、実際のところどうなんでしょうか?

レジ袋有料化の効果まとめ!レジ袋をもらわない人が2倍に!プラスチックゴミ削減も? | Conveni Lady Labo

 

まあ普通に考えて日本国内のプラスチック生産量から考えるとレジ袋の生産量は微々たるものですから、それが多少減ったところで誤差の範囲だと思います。それよりも今回のコロナで食品の持ち帰り需要増によるプラスチック容器の増大の方がはるかに大きいでしょうから、総量としては相当増えてるんじゃないかと思います。最近は、次はスプーンだ!と言っているようですが、実際問題としての削減効果はほとんど無いでしょう。

環境に対する意識面においては(環境省はこれがメインと言っている)「レジ袋を要らない」という人の数が倍になったというのを成果としているようですが、本当は袋代で3円取られるのを嫌がっただけじゃないんでしょうか? まあ本当に環境問題に対する意識改革が進んでいるのか微妙な所ですね(プラスチックが石油から出来ていることを初めて知った人には効果があったかも)。

今回のレジ袋有料化(要はプラスチック類の使用量削減)を行うにあたって私が思うのは、レジ袋禁止ではなくて「生分解性プラスチックへの切り替え」になぜ舵を切らなかったのかという事です。最終的な目的はCO2の削減な訳ですから、生体原料を使用した生分解性プラスチックならカーボンフリー(CO2収支はゼロ)なわけです。

生分解性プラスチックセルロース由来や油脂由来の製造方法はほぼ確立していますが、単価が高くなるために実用化はあまりされていません。ですからここで日本としては生分解性プラスチックの大量生産技術の確立に向けて動くべきではないかと思う訳です。

環境省が音頭を取り、大きな補助金をつけて企業や大学を巻き込んだ開発体制を取れば比較的短期間で量産技術が確立されるのではないかと思います。この生分解性プラスチックのコストが下がり現在のプラスチックに近い価格になれば、将来有望な輸出産品になるのは間違いないんじゃないでしょうか。環境問題(利権?)で大騒ぎする欧州に向けて輸出できれば、それはそれで楽しいんじゃないかと思いますね(拒否できないはず)。

また生分解性プラスチックがどんどん作られるようになれば、日本の産業構造も変化してくるんじゃないかと思います。普通に考えてごみ処分などの負荷が下がりますし(燃えるごみとして処分出来るんじゃないかと思います:たぶん)、生産から流通、廃棄までのサイクルが早くなることによって、食品の廃棄ロスなども減るんじゃないかと思います(サイクルが短くなると作りだめが出来なくなる)。

何よりも新しい輸出産品としての位置が確保できるようになれば、日本国内での産業活性化、GDPの拡大に貢献するんじゃないかと思います。

レジ袋を減らそう活動より、生分解性プラスチック開発!の方がよっぽどセクシーだと思うので、環境大臣にぜひ検討してもらいたいと思います。

佐川急便がEV車に切り替え

佐川急便が自社の配送車をEV車に切り替えて行くようです。

このEV車は日本のベンチャー企業(ASF社)が企画・設計し、製造は中国に委託しているようです。

2030年までにと書いてありますから、年間700台レベルで切り替えて行くんでしょうか。結構なハイペースだと思いますね。

www.yomiuri.co.jp

まあこの記事を見て感じたのは、「中国で作った車を輸入するようになったら、ますます日本で作るものは無くなってしまうなぁ」という事です。

自動車産業はすそ野が非常に広く、市場規模としては62兆3000億円(2018年)、日本の全製造業の出荷額に18.8%を占めています。言わば日本の基幹産業と言える産業ですが、これがEV車になり(政府が何の対策も打たないでいると)間違いなく輸入型のビジネスに切り替わると思います。わざわざコストの高い日本で作らなくとも完成品を輸入した方が安いですからね。

つまり日本の基幹産業である自動車産業に非常に大きな危機が迫っているのに、テレビやネットの反応がほとんどないのが非常に気になるんですね。反応があったとしてもCO2削減のためには・・・と言う反応であって、今そこのある危機が見えていないのかなと思ってしまいます。まさに尖閣が中国に取られようとしているのに何の対策も取らずに放置している状況と同じように感じます。

日本の自動車産業を壊滅させないためにも、政府は様々な手を打つ必要があると思います(単独メーカーではできないことも多い)。

まずは関税ですね。完成車の輸入に関しては一定の関税をかけるようにするべきです(10年程度?)。日本はTPPを始めとして多国間の自由貿易協定を色々と結んで(関税の撤廃)グローバル化を進めようとしていますが、基本的にこの政策は失敗だと思います。トランプ大統領がやったような国ごとの貿易協定、関税を有機的に使って国内産業を保護する政策が正解ではないでしょうか。残念ですが今や日本は産業保護をやらないといけない国になってしまったと思っています。

また全個体電池や高性能モーター、発電機などに思い切った予算を充てて技術開発を後押しすることですね。中国やアメリカなどでも主要産業には積極的に投資を行っています。基本的に投資金額と成果は比例関係にあると思うので、積極的な投資が不可欠だと思います(同時に特許戦略も重要です)。

次いで複数メーカー間での部品の共通化などコスト削減のための思い切った手も必要です。今までは顧客の好みに合わせるべく多品種化するのが常でしたが、複数メーカーで部品共用化を進めれば量産効果が出るので確実にコスト低減が見込めます。いわばかつてのガラケーからスマホへの転換のイメージです。機種ごとにバラバラな企画で作るのではなく、プラットフォームは共通でも「使い方」を変えることによって独自性を出せるようにするという事ですね(この辺は政府による働きかけが必要)。

そして規制の緩和ですね。新規事業者が積極的に自動車産業に参入できるようにしていく事が大切です。従来の自動車産業の人たちでは考えられないような新しい発想を引き出すためには新規参入者が絶対に必要だと思います。当然ながらベンチャー支援と従来の自動車産業各メーカーとのマッチングも政府主導で進めて行くべきですね。

今回の自動車のEV化と言うのは非常に大きなリスクである反面、やり方によっては大きなチャンスにもなり得るわけです。電池やモーター、制御技術などで世界の主導権を取れれば、自動車産業も当面は安泰という事になるのではないでしょうか(あくまでも当面だと思いますが)。