人手不足が激しくなっている

最近はどこの企業へ行っても人手不足の話ばかりです。ここまで人手不足感が強くなっているのは初めてではないでしょうか。

コロナが流行る前やリーマンショックの前も人手不足感が強かった時期がありますが、ここまででは無かったような気がします。

当然最近のコンサルティング依頼も人手不足対策に関わるものが多く、如何に生産性を上げるか、少ない人員で回せるようにするかと言った内容がほとんどになっています。

ただその具体的な解決策は企業によってバラバラなのですが、共通する部分もありますから今日はその話を書こうと思います。

実際に人手不足になっている製造企業の多くで足りないのは「現場作業者」の場合がほとんどです。間接人員が足りないと言う所はほとんどありません(一部システム系人員が足りない企業はある)。

この現場作業者の不足対策として見て行くべきなのは作業者の”作業負荷”が適切にかけられているかという事です。

これは企業の生産管理レベルによっても変わってきますが、作業者の負荷が日単位で管理されているのか、時間単位なのか、分単位で管理されているのかが1つのポイントになります。

よく当社は過去から改善活動に力を入れてきて、日々の労働生産性も毎日管理していると言う企業もありますが、正直なところ日単位の管理では緩すぎるのが実態で、1日終わった時点で生産性がどうだったと言っても後の祭りな訳です。生産性管理を行う上で必要なのは「是正処置がとれるかどうか」であり、1日終わってからでは手を打ちようが無い訳です。

ただそれでも日単位の反省を翌日に生かしているのなら意味がありますが、多くの企業はそれを十分に行わず、週単位や月単位の会議の段階で反省の弁を述べるばかりになっているところが多いようです。

またもう一つ大切なのは作業負荷が時系列で変化していないかという事です。ライン作業のように作業者の動作が明確に規定されている場合にはそのような変化はありませんが、ある程度作業者の意思や判断で作業を進めるような職場では1日の中で作業負荷(仕事の密度分布とも言う)が変わっている場合が多いので注意が必要です。

一般に組み立て系の職場では先のライン作業と同じで仕事の密度差は生じにくいのですが、多品種少量生産企業など段取り替えが何度も発生する場合には密度分布にムラが出やすいので注意が必要です。

さらに細かく言うと、先ほどの仕事の密度分布が変わりにくいと言ったライン作業でも、サイクルタイム内の密度分布をみていると、結構バラツキが発生しているので注意が必要です。

また最近よく見る光景としては(改善をよくやっている企業に良く見られるのですが)、ひとり当たりの業務負荷が0.8人分とか、0.7人分になっているところを良く見ます。まあ改善の成果なのかもしれませんが、実際に0.8人と言う人はいないために結局1人をそこにつけざるを得ず、改善効果は出たが成果にはつながっていないところも結構多いように感じます。大切なのは「改善成果の整数化」であり、時間削減ではなく人員削減まで持っていって初めて改善成果につながるという事です。

現在のような人手不足の時期は時間を減らす改善よりは人の数を減らす改善の方が大切ですから、その旨よく考えて行動してもらいたいなと思います

そして出来るだけ緻密な管理、日単位の管理から時間単位、そして分単位の管理に向けて取り組んでいただければと思います。