新商品開発③

今回はしっかりと新商品開発の話を書いていこうと思います。

企画型新商品開発の話ですが、何回か説明した通り企画型新商品開発とは従来製品の単純な延長線上にはない新商品であって、新たな顧客の獲得や従来の製品の売り上げを落とさずに純粋に売上げ増や利益増、新たな市場開拓につながる新商品を開発することです。

 

前回のブログで戦略眼(商品企画力)の必要性について書きましたが、まさに企画型の新商品開発では、この戦略性をもって新たな商品の位置づけから考えて行くという事になります。

この位置づけを考えるときに必要なのは、「商品」「技術」「市場(顧客)」という3つの視点です。「商品」とはまさに作っている製品の事であり、製品が持っている機能や付加価値、他社製品との差なども含めて「商品」という事になります。

「技術」とはいくつかの見方があるんですが、基本的には商品を作るための技術が対象となります。加工の仕方や組み立て方、素材の材質や加工精度など使用する設備も含めて「技術」という事になります。当然ながら設計技術や品質などを含めた管理技術も対象になりますね。

「市場(顧客)」とはまさに販売先(お客さん)のことであり、販売ルート、業界を含めて対象となります。

 

この3つの視点は基本的に企画型新商品開発でも製造型新商品開発でも同じですが、企画型新商品開発ではこれらのうちの2つを変えるか、市場を変える場合が対象となり易く、製造型新商品開発では商品か技術のどちらかを変える場合が多いと思います(あくまでも基本的にはという話です)。また、新商品開発フローはかなり違うので、しっかりと理解しておくことが必要です。

 

企画型新商品開発のフローを簡単に解説すると、最初に行うのは過去からの新商品開発の棚卸ですね。過去の歴史の中でどのような商品を作ったのか、どのような顧客と付き合っていたのか、どんな市場で販売していたのかを知ることは非常に大事ですね。なぜなら失敗した歴史を学び、その原因をしっかりと把握しておかなければ、同じ失敗を繰り返してしまう事になってしまいますからね。

 

次いで行っていくのは製品時系列分類と言って、過去から作った製品を時系列の中で整理しなおすという事です。一般的に製品時系列分析は系統樹的な表現になり、1つの製品から機能を分けて2つにしたとか、完全に流れ途切れた製品が複数あるとか言う事が解ってきます。ちなみに系統樹とは製品の因果関係を示したもので、分かり易いものとしては「進化の系統樹」なんかがあります。サルと人間の祖先は同じで、300万年前に別れた。人の祖先も複数の分岐を繰り返してきたが現生人類以外は進化の途上で絶滅してしまった。と言うやつですね。

 

実はこれ以降はまさに企業によって様々という事になりますが、色々な分析手法やマトリックスなどを使って、今後の成長が見込める市場はどこなのか、その中で自社の技術を使って作れるものはあるのか、既存の市場であっても参入していない分野はあるのか、自社技術で作れなければ協力メーカーに依頼できないのかなど、色々な検討を加えて行く事になります。この検討は一見ムダなように見えますが、じつはこの考える工程が非常に大切で、答えを聞いて動くのではなく、答えを見つけるために動くという事自体が製品開発力アップにつながってくるのです。

 

この新商品開発の流れを何回も繰り返せば、具体的な動き方が身についてきます。ただ社内に新商品開発部門がある会社でも実は企画型の商品開発を行っているところは多くありません。大抵は現在の商品の延長線上の開発を行っていることがほとんどで、市場を新たに開拓する新商品開発につては十分な経験を持っていない所が多いのも事実です。

 

この企画型新商品開発を行う上での絶対に注意しないといけないポイントが1つだけあります。それは「利益が出ている内に実施すること」です。実際問題として赤字が積み重なってからの新商品開発は、起死回生の一発や大物狙いに特化する傾向が強くなって成功確率自体が低くなることに加え、資金不足で十分に動くことが出来ないことも多いので、その辺は注意してください。

 

非常にざっくりと企画型新商品開発の説明を行ってきましたが、どうだったでしょうか。本ブログを参考に積極的に新商品開発に力を入れていただければ幸いです。

 

 

ちなみに5月からこの企画型新商品開発の研修を行いますので、興味のある方は参加してもらいたいと思います。Web使用の半日×6回のセミナーです。

 

企画型新商品開発研修