同調圧力

最近はコロナもほぼ終息しているのに、市中では相変わらずほぼ全員がマスクを着けています。たぶんマスクを着けている人も、「もうマスクはいらんやろ」と思いつつも、周囲の目を気にしてマスクを着けているんじゃないかと思います。いわゆる同調圧力と言うやつですね。

日本ではこの同調圧力が非常に強いのですが、これは企業内の改善活動などにおいても全く同じ現象が現れます。良いと分かっていることであっても自分から変わるのは嫌だ、指示してもらったら対応する、昔から続いている事なので、直接自分には関係ないから(本当はある)などと言って「変わる」ことを拒否する人が多いのです。

このような場合にコンサルタントが対応する方法は大きく2つです。1つはトップから強い命令や指示を出してもらって強制的に変革する方法で、もう一つは一人一人を説得しながら少しずつ意識を変えて行き、対象部門の半数近くが「変わる必要性」に同意してもらってから動き出すという方法です。

当然ながらトップダウン型で進めた方が結果が出るのは早く、集団の意識変革で進めた場合には結果が出るまでに非常に時間がかかることになります。まあ当然と言えば当然なのですが、残念なのは日本企業のかなりの部分が後者の方法を選択するという事です。特にその傾向が強いのは大手企業で、責任者クラスも速い変革を望んでいながら手法としては意識変革型で進めようとする場合がほとんどで、変革を成し遂げるためには相当長い時間を要することになりますし、場合によっては変革自体が途中で頓挫し、数年間取り組んだけれど気が付いたら元に戻ってしまっていた、と言う企業が結構あるのです。

大手企業でも一部スピードを意識して事を進めようという人もいますが、あまり強い姿勢で進めて行くと現在はパワハラといことで人事部などに通報されてしまうことあり、変革が更に進みにくくなっている感じですね。

中小企業の場合は基本的にトップダウン型で進める場合が多いのですが、それでも最近は従業員の希望を聞いてから・・と言う感じで、協調型の経営を進めようという経営者も結構出てきました(2代目、3代目に多い)。ただ中小企業の場合はゆっくり時間をかけてやるだけの余裕はありませんから、コンサルタントとしてもトップダウン型を強く推奨することになります。

この同調圧力聖徳太子の「和をもって貴しとせよ」という所から始まったのかもしれませんが、逆に企業や日本自体の変革を遅らせている要因なのかもしれません。私どもから見ても成長している企業は従業員各自が比較的はっきりとした意見を持っており、その結果として企業としての意思決定も早くなっているように感じます。ですから改善活動などにおいても、「はっきりと意思表示をする」という事が大切だと感じます。

最初にマスクの話をしましたが、マスクが不要だと感じたらマスクをしないという選択をすることが大事ではないかと思います。たぶん1、2割の人がマスクをしなくなったら一気にマスク無しの方向に動くと思います(これも同調圧力ですが・・・)。

たぶん現時点を冷静に考えると、コロナになるリスクより熱中症になるリスクの方が高いと思いますから、思い切ってマスクを外してみることが必要なんじゃないかと思います。