記憶力が減退している!

 実はかなり久々になるのですが、現在書籍を執筆中です。内容的にはまだ公表できるレベルにはないのですが、アステックのオリジナルの考え方の1つである「見えないコスト」を中心にした内容にしようと思っている所です。

 元々はコロナでテレワークが増えたことや出かける場所もないことから久しぶりに本でも書こうと思った所から始まったのですが、もともとがそういう軽い動機で始めたこともあり、全く筆が進まないまま1年が過ぎようとしている所です。さすがに出版社からの督促もだんだん厳しくなってきており、何とか書こうと思っている所でコロナの感染者数が大きく減少し、今まで出来なかった訪社が出来るようになったためにコンサルティングセミナー、工場診断などの依頼が増え、そちらの方にかなり時間を取られるようになってきました。もともと時間があるからと思って始めたんですが、結局忙しくなってきた所に本格的に書かないといけないタイミングが重なってしまいアップアップしている所です(自己責任ですが)。

 久々に本を書き始めて思ったことは、以前と違ってかなり記憶力が減退しつつあるという事ですね。若いころに書いた本(セル生産など)の場合は何章のどこに何を書いたかはっきり覚えており内容が重なることはありませんでしたが、現在は何を書いたかすぐに忘れてしまって後で読み返すと同じような話を何ヵ所かに書いており、あわてて消してまた書き直すという不毛な行動を何度も取っています。集中力に関しても昔は食事もとらずに何時間も集中して書くことが出来ましたが、現在は良くてせいぜい半日(4時間程度)しか続きませんし、通常は1,2時間で集中力が途切れてしまいますね。自分では若い時とそんなに変わらない気分でいたのに、現実を突きつけられて非常に暗澹たる気持ちになっています(そのせいでまた進まなくなる)。まぁ、とは言っても書かないと仕方が無いので何とか気分を盛り上げて書いている所です(最近ブログの更新頻度が下がっているのはこのせいでもあります。今後も更新が滞る時は何か思い悩んでいるんだろうと思っておいてください!)。

 話は変わりますが、最近は非常に人出不足感が強くなっているように感じます。コロナが終息しつつあり今までダメージを受けてきた企業が復活することにより人出不足感が強くなっているのだと思いますが、どこに行っても人が来ない、採用できないという話ばかり聞きますね。ただそれによって人の採用レート(給与ベース)がすごく上がったという話も聞きません(上がっているという話は聞きますが)。聞いている話を総合するとどうも今の日本の製造業は外国人労働者技能実習生)なしには成り立たなくなってしまっているように感じます。本来好景気になって人手不足感が強くなると給与水準が上昇して個人所得も増えるのが「昭和時代」の流れだったんですが、最近はそこに派遣社員であるとか外国人実習生と言う存在が出てきたために賃金上昇の圧力が薄くなっているように感じます。特に外国人技能実習生は給与の比較対象が母国ですから、現在の日本の給与水準でもメリットがあるわけです。当然ながら今や生産活動の主力になっている派遣社員技能実習生の給与水準が上がらなければ一般社員の給与水準も上がりにくくなるわけで、忙しくて人出不足感は高いけれど賃金ベースは上がらないという悪循環に入っているように感じますね。この問題は日本全体で考えると非常に大きな問題であって、過去30年にわたって日本だけが経済成長していない元凶なのではないかと思います(始まりは小泉政権新自由主義への傾倒)。またここにきて外国人技能実習生の来日を後押しする動きが出てきましたし、特定技能者は家族を連れて移住することも容易に出来るようにしていこうとしています。現在の人手不足を解消するためには必要な措置かもしれませんが、長い視点で見たときにはどうなんでしょうか。マイナスの要素も多いように感じますね。

 私が仕事柄思うのは、日本はもっと生産性を大きく向上させる余地があるのにそこに力を入れていないという事です。実際に色々な企業に行かせてもらいますが、そこで「これ以上生産性は上がらないだろうな」と思う企業はまずありません。多くの企業が生産性を大きく上げる余地を残していますし、特に間接部門なんかは半分にしても行けるんちやうの!と思うような企業もたくさんあります。そもそも製造業は日本でも生産性が高いのにこの状態ですから、他の業種に関してももっと大きく生産性を向上させる余地があるのではないかと思います。そしてこれらの部分に本格的に改善のメスを入れれば人手不足の解消にもつながりますし、企業の生産性が向上すれば派遣を含む従業員の給与も間違いなくアップするでしょうから、経済成長にもつながりますし、長らく続くデフレ基調からの脱却も進むのではないかと思います。

 実は私はひそかにDXの進展に期待しているんですね。実はDXは産業構造を変革させる可能性を持った取り組みであり、抜本的に企業コストを低減させることが可能な取り組みですから、日本がこのDXによって抜本的な業務フローの改革、ビジネスモデルの変革に取り組めば必ず成長軌道に戻ることが出来ると思います。何となくDXも流行ものみたいなイメージで見られつつあるように感じますが、本格的に取り組めば抜本的な企業改革につながる取り組みですから、日本の全ての企業が本気で取り組んで行ってもらいたいと思っています。