改善は得意だが、改革は苦手

メッチャ暑い日が続いています。前回、同調圧力の件について書きましたが、これだけ暑くなっても相変わらずマスクを外さない日本はいったいどうなっているんでしょうか? とうとう政府が「外ではマスクを外しましょう」というCMを流すようになりましたが、それでもマスクを外さない日本はある意味「スゴイなぁ」と思ってしまいますね。同調圧力は周囲が作るものではなく、自分の心の中で作り出しているのかもしれません。

今日は日本は「改善は得意だが、改革は苦手」と言う話を書きたいと思います。

改善と改革の違いは捉え方によって変わってきますが、一般的には従来の仕事の延長線上でよりよく変化させることが「改善」で、従来の延長線上ではなく新しい軸を作った上でその軸上に大きくシフトして行く事が「改革」という事になります。

この改善と改革ですが、日本では技術面においては結構「改革」は起こっています。特に設備などにおいては従来職人が手で作業をしていた旋盤作業なども現在はNC化され、更にマシニングセンターによる多面加工、更に現在は5軸加工で相当複雑な形状も簡単に作り出せるようになってきています。更に3Dプリンターなどで切削自体が不要になったりしています(日本発とは限りませんが、導入は早い)。

このように技術面の「改革」は結構進んでいるのですが、経営面や管理面では「改革」は中々起こっていないのが現実です。経営面や管理面における「改革」とは会社全体の仕組みを変えて、効率的で高収益な企業体質に転換することですが、残念ながら多くの企業では部門単位や更にその下の課単位や係単位での作業のやり方を変えて行く「改善」しか行えていないのです。まあ言い換えると「全体最適」型の変革か、「部分最適型」の変革の違いという事になります。

この背景にあるのは大きく2点あります。1点目は、仕組みを変えるグランドデザインを描くことが苦手であるという点です。また2点目は、大きな変化は怖いので自分から率先して取り組んでいく事を忌避するという点です。この2点目は最初に述べたマスクの件に通じるところがありますね。

グランドデザインを作るという事は、言わば戦略を作るという点ですが、この辺はいつも欧米の後塵を拝していることになります。戦略の下で動かしていく戦術や戦闘行為では日本は圧倒的な強さを発揮しますが、戦略レベルではいつも負けていて、戦術レベルで優位に立った習慣に欧米にルールを変えられてしまうという事が過去から何度も起こっています。最近で言えば排ガス規制の件や温暖化対策の件が上げられますし、スポーツ界では日本人が強くなりすぎると採点ルールを変えられてしまう事もしょっちゅう起こっていますね。

ちょっと文章が長くなってしまったので、この続きは次回書かせてもらいたいと思います。