直間比率は適正か?

製造業に対するコンサルティングという仕事柄、製造メーカーにはよく行かせてもらいますが、その中で感じることの一つとして直間比率(直接部門と間接部門の比率)がずいぶん変化してきているなという事です。

私がコンサルタントになった30年近く前は、多くの企業の直間比率は7(直):3(間)から6:4位だったように記憶しています。大手上場企業ではその段階でも6:4もしくは5:5位だっと思いますが、それは本社部門を入れての数字であり、工場部門だけでみると7:3くらいだったように思います。また中小企業では8:2くらいの会社はよく見ましたし、9:1レベルの企業も結構見た記憶があります。

ただ最近行かせていただく企業では、中小企業であっても6:4もしくは5:5位の所が非常に多いように感じます。中には間接部門が7で、直接部門が3の企業もあります。何か非常にアンバランスに見えるのは私だけでしょうか?

本来製造部門の生産性が上がって製造部門人員が少なくなった結果、間接部門人員比率が上がったのなら問題ないのですが(問題はあると言えばありますが)、私が見る限り直接部門の生産性は横ばいか、逆に低下している企業の方が多いように感じます。ほとんどの企業で小ロット生産が増えていますし、工場内も派遣や請負、技能実習生比率が増えた結果、目先の人件費は減ったのかもしれませんが、人員数的にはあまり変わらない企業が多いんじゃないかと思います。

当然ながら商品開発や技術開発に力を入れている企業は直間比率が間接側に偏ってくるのは仕方がないのですが、どうも製造部門の人員数は変わらないのに、純間接や製造間接部門の人員が増えて直間比率が悪化(?)してきているように感じますね。

本来ここ30年はコンピュータの発達やIT技術の発達で間接業務は効率化されたはずなんですが、実際にはシステムを使いきれずにエクセルで作業したり、システムに入力する数字を何度も転記したりなど実際には業務効率が悪化してるんじゃないかと思ってしまいます。

また、本来必要のない仕事が増えてしまって業務効率を阻害している状況もあるんじゃないかと思います。近年は情報通信技術(IT)が発達するにつれて個人で得ることのできる情報量が著しく増えていますから、従来に比べて簡単に報告書を作れるようになったのも間接業務が増えた原因の一つかもしれません。

現在多くの企業が人で不足と言われていますが、その原因はここらあたりにあるのかもしれません。直間比率を是正し、適切に人員を製造部門へシフトさせて行くことが今後求められる改善の方向性ではないでしょうか。