日本が経済成長できなかった理由

前々回に「長い目で見れば円安は喜ぶべき事」という記事を書きましたが、それについて少し捕捉したいと思います。

下記のグラフはドルに対する為替レートの推移(約40年間)を示したものですが、このグラフを見て何が解るかというと、為替レートと日本の経済成長(GDP)の伸び率は強い相関関係があるという事です。

為替レート推移(出典:世界経済のネタ帳)

日本の高度成長は80年代で終了し、90年代はバブル崩壊から低経済成長の時代に入りましたが、まさにこれとリンクするのが為替レートなんですね。その後日本は30年に渡って経済成長できない時代が続いていますが、その間の為替レートは100~110円くらいの間を推移しています。その中でも民主党政権時(2009~2012年)は80円を切るレベルまで円高が進みましたから、この時に多くの製造業が海外に工場を移転したのは記憶に新しい所ではないでしょうか。

前回も話をしたように円高が進むと日本で作るよりも海外で作ったものを輸入した方が安くなりますから、必然的に製造業は海外に移転していくわけです。その結果日本国内のGDPは減少しますから、不景気になり賃金水準は下がっていくわけです。そうなると国民の購買力は下がりますから、より安い海外産品を買うようになり国内の製造業はさらに低迷して行くわけです。さらに日本ではこの間に派遣社員の増加や外国人労働者の増加がありましたから、余計に賃金水準の低下を加速して行ったわけです。

それでは円安や円高はどうやって決まるのかという事ですが、超簡単に説明すると日本とアメリカの通貨発行量の差によって決まります(諸説あり)。要はドルが増えてドルの価値(希少性)が低下するとドルは下がります。この時に日本の円の通貨量が同じだったら、日本の円の方が希少性が上がりますから、円高になるという事です。そしてこのような状態が30年続いてきたわけです。

つまり日本の円高は日銀や財務省通貨供給量を増やさない(国債の発行を抑え込んだ)ことが大きな原因であったのは間違いないと思います(あくまでも私の考えです)。逆に言うと国債発行量を増やして円安誘導し、国債で得た資金を地熱発電省エネルギー技術などに投資すればエネルギーコストは大きく下がるので、円安に伴う物価上昇に一定の歯止めをかけつつ経済成長できるのではないかと思います。

まあ個人的なイメージですが、現在の日本の経済力から考えると130~140円が適切な為替レートではないかと思いますから、今の為替レートは「わたし的」には適正なんじゃないかと思っています。