1次情報に触れられる環境を作る

前回のブログで1次情報、2次情報、3次情報の考え方、部下からの報告の受け取り方について書きましたが、今回もこの情報について書きたいと思っています。

前回のおさらいになりますが、1次情報とはいわゆる生データのことで現場で発生している事実そのものという事になります。一般的な製造メーカーであれば、誰が、どれくらいの時間をかけて、何を、いくつ作ったのか、という事実情報が1次情報ですし、設備が何時間稼働したのか、チョコ停は何回あったのか、段取り替えに何分かかったのか、などの事実情報も1次情報という事になります。この1次情報の特徴としては非常に数が多いという事で、細かく分けて行けば無限に近い種類の情報が発生するという事になります。そのため1次情報はしっかりとした目的をもって収集しないと必要とする情報が抜けていたり、不完全な状態でのデータを収集することになりますから注意が必要なのです。

2次情報はこの1次情報を取りまとめたもので、情報を必要とする人が分かり易くなるようにデータの種類を選択したり、グラフ化などを行って直感的に発生している状況を理解できるようにした情報のことです。当然ながら人によって必要とする情報は違いますから、利用する人ごとに2次情報は出来ることになります。つまりこの2次情報の段階から人の意図が入って来るという事になります。

3次情報は1次情報、2次情報を基に作成者の意図に沿ってデータを選別し、解説なども加えて作成された文書のことであり、一定の方向性(作成者の意図)をもって作成されているものです。

これら1・2・3次情報は分かり易くマスコミに例えることが出来ます。一般的に1次情報というのはツイッターや各SNSのように「特定の現象」を見た人がその場で発信した情報であり、まさに事実を客観的に発信した情報という事が出来ます。

それに対して2次情報はテレビやラジオなどの媒体であって、数ある1次情報の中から一定の意図をもって情報を選別し伝達することになります。当然ながら編集作業を行う段階で編集者の意図が強く反映されることになりますし、その意図に沿って情報を選別することが発生するわけです。

3次情報は新聞や雑誌、テレビであっても明確な方針のもとに編集された番組は3次情報という事になります。当然ながら情報の取捨選択には強い意思が働くことになります。

現在マスコミ離れであるとかテレビの視聴率が下がっていると言われますが、その最も大きな原因は一般人が1次情報に触れられるようになってきたからという事が出来ます。以前は2次情報や3次情報でしか事件や各出来事を知ることは出来ませんでしたから、それらを当然のように信用していたわけです。ただ現在は多くの人々がネットなどを通して直接1次情報に触れられるようになったために編集者の意図を排除して事実を知ることが出来るようになったのです。これらの結果としてテレビの視聴率は大きく下がり、新聞などは頭から信用しなくなった人が出てきているわけです(私もそうですが)。

残念ながら1次情報に触れることが出来ない世代や人々は未だにテレビや新聞の情報が正しいと思っているわけですが、これら人の比率は徐々に低下して行くのは間違いありませんから今後もテレビや新聞の凋落は進んで行くのは間違いないでしょう。

実はこの事を通して読者の皆さんに伝えたいのは、会社内でも同じようなことが発生していませんかという事です。これは特に中間管理職や上級管理職に対して言いたいのですが、報告書やレポートを読むだけでは「起こっている事」の全体像を正しく理解できないですよ、という事です。正しく発生している問題を理解するためには1次情報に触れることが非常に大切なわけです。これは各工場の隅々まで回れという事ではなく「自分から1次情報に触れに行かなければ正しい判断は下せませんよ」という事なのです。

一時期、品質の偽装とかの問題が発生しましたが、これらの背景には1次情報に触れようとしない上級管理職の存在があったのは間違いないと思います。

ですから会社が大きくなればなるほど上級管理職や役員などは1次情報に触れる努力を行うべきですし、不要な階層を排除し組織のフラット化を行う事によって1次情報に触れられる組織環境を作っていくべきなのです。そしてこれらを側面的にバックアップするのがDX化という事が出来るのです。