部下からの報告の受け取り方

今日は情報の種類について話をしたいと思います。

皆さんは情報には1次情報、2次情報、3次情報があることはご存じでしょうか。

これらは具体的に発生している事実からの距離を示しているもので、1次情報は具体的に発生している事実情報であり、製造現場で言えばその時々の生産数量や設備の稼働時間、作業にかかっている人員数など現場で実際に発生している現象を示す数値という事になります。他にも営業系の情報であれば顧客別の売り上げ数量もそうですし、営業担当が顧客と面談した時の営業日報などが1次情報に当たります。他にも1次情報は具体的な事実ですから色々なものが存在することになります。

2次情報は1次情報を伝達するために分かり易く加工した情報のことを指します。先の生産の例であれば、設備別の出来高をグラフ化して見やすく加工した情報や日々の生産性を数値化して比較しやすくした生産性指標の数値なども2次情報という事が出来ます。

これに対して3次情報は1次情報、2次情報をベースにしながらも作成者の意図を加えた情報のことを指します。一般的には報告書やレポートなどは作成者の意図を反映させて作成されるもので、作成者の思考力や分析力によって内容は大きく変わるので報告を受け取る側の管理者は注意が必要なのです(同じデータであっても全く正反対の結論を導き出す場合もある)。

マーケティングで良く出されるたとえ話としてアフリカに靴を売りに行ったセールスマンの話があります。2人のセールスマンのミッションは実際にアフリカに行って靴がどれくらい売れる可能性があるのか、会社としてアフリカに投資する必要性があるのかを判断して本社に報告することです。そして2人が実際にアフリカに行ってみると「靴を履いている人はほとんどいない」という現実があったわけです。全くゼロではありませんが、ほとんどの人は「はだし」で歩いていたわけです。この事実を見て2人のセールスマンが本社に送った報告は以下の通りです。

1.Aさんは本社に対して「靴を履いている人はほとんどいない。はだしで歩いている人も特に困ったようには見えない。だからアフリカで靴は売れないので進出しない方が良い」という報告をしたわけです。

それに対してBさんは「靴を履いている人はほとんどいない。でも今後所得が増えるにつれて靴の需要は必ず高まるので、本格的に進出すべきだ」という報告を上げたわけです。

このように3次情報はその情報を捉える人によって解釈が大きく変わる可能性が高いので、情報を受け取る側が注意をする必要があるのです。まあこの事が何を意味するかというと、3次情報を鵜呑みにするのではなく1次情報に触れることが大切であるという事です。この例で言うと「数少ない靴を履いている人はどんな人か」「そもそも靴を売っている店はどこにあるのか」「靴を履くメリットが得られる凸凹道がどれくらいあるのか」というような1次情報に数多く触れればふれるほど間違いのない判断を下せるようになるのです。

管理者と呼ばれる人はどうしても部下からの報告を聞いて判断を行う事になりますが、そこで大切なのは1次情報をしっかりと確認することです。1次情報を確認することが出来ない場合でも、取りまとめた2次情報を確認することが非常に重要です。そしてそれらの情報を基に報告者が3次情報として出した結論を導き出すまでのプロセスを確認すること(ロジックの妥当性の確認)が正しい判断を行うためには絶対必要なのです。

今回は報告を受け取る時のポイントを記しましたが、今後も折に触れてマネジメントの在り方についても情報発信して行きたいと思います。