食糧危機が来る?

オミクロンが猛威を振るっていますね。

マスコミが相変わらず煽ってますが、一部に重症者や死者は非常に少ないのでそれほど気にしなくても良いじゃね?みたいな論調がちょっと生まれてきているように感じています。その方向で鎮静化に向かっていけばうれしいのですが、そうはならないでしょうね。

話は全く変わりますが、実は今密かに心配しているのは食糧危機が来るのではないかという事です。現在の日本は飽食の時代であって、それなりのお金を出せばいくらでもおいしいものが手に入る状況ですが、果たしてこれがいつまで続くのだろうかという事です。

この食糧生産は基本的に気候に左右されるものであって、ちょっと環境が変わると一気に不作になる可能性がありますから、現在安定的に食糧を確保できているからと言って将来的に安泰だとは限らないわけです。もし世界的な天候不良が発生すると食糧輸出国も自国消費向けに輸出は抑えることになりますから、一気に輸入量が減ることが予測されるわけです。

現在製造業では半導体不足から製品が作れない状況が続いていますが(給湯器などは全く無いらしい)、今は半導体だけではなくちょっとした小物部品も足りない状況になっています。いわゆるコネクターなどの汎用部品なども不足しているのですが、これらはコスト対策として日本から東南アジアや中国に製造を移管したものですが、現在東南アジア諸国がコロナによるロックダウンの影響で工場が稼働できないのが原因と言われています。

まあ今回のコロナ騒動が極めて稀なことで、今後同じようなことが発生しないという事ならば何の心配もいりませんが、感染症以外の理由も含めて同じように世界の物流が止まる可能性は結構あるんじゃないかと思います。

そもそもグローバルなサプライチェーンは極めて微妙な線上で成り立っているものだと考えることが必要だと思います。例えばアメリカの港湾問題で船便が一部止まっているために発生するポテト不足なんかも今現在発生している問題ですし、先の部品問題もそうです。グローバル化を目指して始まった国際分業は平和な時には非常に大きなメリットを生み出しますが、ちょっとバランスが崩れると途端に物不足に陥って混乱が発生することになるわけです。実際問題としてこのグローバルサプライチェーンを分断する可能性がある事象としては、今回の世界的な感染症の蔓延に加え戦争や災害、気象問題など数多くの原因が想定されることになります。

そしてそれらの中で絶対に発生したら困るのが食糧問題なのです。工業部品や衣類などは多少輸入に障害が発生しても何とかなりますが、食糧が入ってこなくなると途端に国民は飢えることになるので大変なわけです。そもそも日本の食料自給率は30数%(カロリーベース)と言われていますから、1週間でも船が止まったら日本は大混乱になってしまうのです。

そして食糧のグローバルサプライチェーンにダメージを与える要素は実にたくさんあります。1週間ほど前にトンガで大規模な火山爆発が起こりましたが、これによって世界的に平均気温が少し下がることが予測されています。1991年にフィリピンのピナツボ火山が爆発した時には世界の平均気温が0.5℃下がったと言われていますが、その年は日本でも日照不足によってコメが取れず、大騒動が起こりました(平成の米騒動)。火山に関しては日本近海でも最近は活発な活動が記録されていますから、同じような爆発が起こるかもしれません。他にも昨年は中国で結構大規模な水害が発生していますし、アフリカから中東ではイナゴによる蝗害が発生しています。気候変動による異常気象も続いていますから、食糧をめぐるグローバルサプライチェーンは途切れる危険性を数多くはらんでいるわけです。

これらの問題に対処するためには日本の食糧生産を増やす必要がありますが、残念ながらそれも難しい状況にあります。農業人口の高齢化はとんでもないことになっていますし、企業が農業に本格的に参入できないために合理的で生産性の高い農業は行えない状況なのです。このままいけばグローバルサプライチェーン上で何か問題が発生すると日本はすぐに飢餓状態になる危険があるわけです。

本来リスク管理とは最悪の状態を予想して事前に対策を立てることですが、日本の場合は実際に問題が発生しないと行政も民間も動き出しませんから、どうしても後手後手に回ってしまうのです(今回のコロナの件も同様)。この状況だと北朝鮮のミサイルも日本に着弾して犠牲者が出ない限り本格的には動かないんじゃないかと思います。

現在ロシアがウクライナに侵攻すると言われていますし、中国も北京オリンピックが終わったら台湾攻撃を行うという噂もあります。これらのことが起こったらグローバルサプライチェーンは寸断される危険がありますから、日本も決して他人事ではないわけです。

まあ以上のようなことを考えるとつい食糧問題が心配になってしまう訳です。政府もコロナ対策ばかりではなく、今後発生するであろうリスクを想定して動いて行ってほしいと思っています。