DXレベル2について

オリンピックが終わりました。

色々と混乱や不祥事に苛まれた大会でしたが、終わってみると本当に良い大会だったと思います。柔道や野球、ソフトは結構見ていましたが、金メダルラッシュになって本当に楽しませてもらいましたし、サーフィンやスケボー、空手などの新しい競技では新しいスターが生まれて今後の活躍にも期待が出来そうです。

結果的に獲得したメダル数は58個(金27個、銀14個、銅17個)であり過去最高のメダル数になっています。まあメダル数だけが評価の対象ではありませんが、やっぱりメダルを取るとみている方もうれしいですね。

今回の全競技数は339種目ですから、メダル獲得率は17.1%になります。ちなみに前回の(1964年)の東京オリンピックのメダル数は29個(金16個、銀5個、銅8個)で競技数は164種目ですからメダル取得率は17.7%です。これを見ると国威発揚の場であった前回大会とほぼ同じですから、日本としては大成功だったんじゃないかなと思います(但し、開会式と閉会式は除く)。

 

話が逸れてしまいましたが、今回は前回に引き続きDXの話をしようと思います。

前回はDXの5段階のレベルのうちのレベル1について話をしましたが、今回は次のステップであるDXレベル2について話をして行こうと思います。

ちなみに当社(アステックコンサルティング)で規定しているDXレベルは以下の通りです。

レベル1:社内で使っている紙データをデジタル化する段階

レベル2:デジタル化したデータを使って各種改善を行っていく段階

レベル3:デジタル技術を使って、業務フローを対象した改善を行う段階

レベル4:デジタル技術を利用して、会社全体の仕事の流れを再構築していく段階

レベル5:社外も含めてサプライチェーンの流れを再構築して行く段階、及び新たなビジネスモデルを構築する段階

これらのうち今回説明するのはDXレベル2であり、デジタル化したデータを使って各種改善を行っていく段階です。

DXレベル1で紙データをデジタル化して後から使えるような形に転換しましたが、DXレベル2ではこれらのデータを「見える化」していくのが最初の取り組み事項になります。基本的にデータはデータベースに格納することになるので、後はこのデータを使ってどのようにまとめるかはアイディア次第という事になります。ただ一般的にはデジタル化する段階で目的をもってツールを選択していると思うので、特に悩むことなく「見える化」することが出来ると思います。

通常は導入したツールに付属しているソフトウェアで「見える化」することになりますが、データをさらに詳しく分析したりとか、従来とは違った角度で分析したい場合などは、エクセルなどの表計算ソフトのグラフ機能を使って表示することもあります。この辺がデジタル化をしたメリットの1つであって、しっかりとデータベースが構築できていれば色々な形でデータを活用することが出来るのです。

ただ注意しておいてほしいのは、DXレベル1で複数のツールを導入した場合などはデータベース自体が別になるので、データの取りまとめを行う場合にちょっと手間が発生するという事です。例えば電子帳票はA社の物を使って、設備稼働率の把握はB社のツール、着完入力の把握はC社のものでそれは基幹システムに繋がっている、などと言った場合です。そもそもツールのメーカーがバラバラだとデータベースの形もバラバラですから、各々のデータを見るときにソフトを切り替えないといけない手間が発生するのです。そういう意味では色々なツールを内包している統合型のツールの方が便利かもしれません(価格は高くなりますが・・・)。

ただ現在は色々なツールのデータを一元的に表示することのできるBIツール(Business Intelligence)と言うものがありますから、これを使うと異種間のソフトウェア上のデータを一元的に表示できるので、大変便利です。このBIツールには複数の有名メーカーがありますが、最近はマイクロソフトがBIツールを出していたり、グーグルが似たようなサービスを提供していますので、今後はこちらの方が主流になる間も知れません。ちなみにマイクロソフトはRPA(Robotic Process Automation)いわゆる事務作業の自動化ツールも無料の物を出していますので(PAD:Power Automate Desktop)、RPA業界のシェアが大きく変わるかもしれません。

ただDXレベル2の目的はこれらの「見える化」だけではありません。最も大切なのはこれらのデータを基にして具体的な改善を行う事です。設備稼働率のデータやグラフが見えるようなったのであれば、停止要因を調査し、不具合個所は修理し設備が安定的に動くような改善を行う事なのです。労働生産性であるならばどの職場の、どの作業をやっているときに生産性が下がるのかを明確にして、その作業を集中的に改善することによって生産性を上げる努力を行わないと「見える化」した意味が全くないわけです。

DXを進めて行く段階において結構多くの企業が「見える化」できた段階で満足してしまう傾向があるのは事実です。BIツーなどを導入して当社のDX化はかなり進んでいる!と自慢する企業(担当者レベルで)も結構ありますが、大切なのは「見える化」ではなく改善することであって、具体的な成果を上げて行く事なのです。DXレベル1の段階では成果は出ませんよと書いたと思いますが、DXで成果を上げて行くためには地道な改善が必要なんですね。せっかくDXに投資したのに一向に成果が上がらないとぼやいている経営者の方は今一度この改善部分に着目してほしいと思います。

またもう一つDXが失敗する例として上げられるのは「スモールスタート」だけにこだわっている企業です。スモールスタート自体は先行投資であって問題は無いのですが、本来スモールスタートの次には大きな投資を行うのが通例であって、DXの可能性及び方向性をしっかり認識したうえで投資計画を作っていくのが本来の姿です。それなのにスモールスタートの次もスモール投資、その後もスモール投資で会社の中にDX関連のツールが散在し、ツール同士の連携も出来ないまま終わってしまう危険性の高い企業が結構多いのです。それこそDXレベル1の状態で止まってしまうという事です。

DXは会社の仕組みを大きく変えて行く可能性、また破壊力を持った取り組みです。どうかしっかりとDXの可能性と方向性を十分に検討して取り組んで行ってほしいと思います。

 

8月24日と26日にDXに関するセミナーを行いますので興味のある方は参加してください。今回のセミナーは創立20周年記念として無料・Webセミナーにしていますので、大変参加しやすくなっています(ちなみに24日は既に満員で、26日分は多少席が残っている状況です)。

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