勇気をもってコストを下げよう!?

先日「勇気をもってコストを下げよう」というタイトルでセミナーを行いました。大阪は緊急事態宣言が解除されましたので会場とWeb配信の2本立て、東京は緊急事態宣言が延長されたのでWeb配信のみで行いました。

たぶんタイトルを見て多くの人は??と思ったんじゃないでしょうか。コストを下げるのに勇気がいるとはどういうこと?、コストが下がるのはうれしい話なので勇気なんか関係ないのではないの?、といった感じではないでしょうか。

まぁ多くの人が?マークを付けるセミナーを行うことが実は結構あるのですが、セミナーを聞いて「なるほど!」と思ってもらえることが秘かな楽しみだったりするわけです。

先に種明かしをすると、一般的な製造業において「コストダウン=製造原価低減」な訳ですが、大幅に製造原価を下げようとする場合には工場全体の仕組みを変える必要があるので非常に難易度が高く、通常の改善レベルの取り組みではなかなか実現出来ないのでかなり気合を入れて取り組まないといけませんよということです。

具体的に言えば生産方式や工場運営の仕組みにバッサリとメスを入れることによってコスト構造を変化させ、低コスト体質に転換しない限り大幅な製造原価の低減はありませんよという内容です。

セミナーでは製造における仕組み改善と設計における仕組み改善の内容をお話ししましたが、この仕組みを変えるということが非常に難易度が高い改善なわけです。製造であれば生産方式(生産管理のやり方、モノの流れや情報の流れの管理方法)を変えて、短時間で一気に完成させる作り方、言わば工場内でモノが停滞せず、計画通りに、常に流れている理想的な状態を作り出しましょうという事です。そしてそれによってムダを削減し、労務費のみならず間接コストや管理コスト、品質コストも低減することによって製造原価を下げて行きましょうという事です。

当然ながらこのような改善は複数部門(製造・調達・生管・品管など)と協調しながら活動しないと実現できないわけで、明確な方針の下で強いリーダーシップをもって取り組まない限り実現できないため難易度が高いわけです。

また、「原価低減のために生産方式を変える」ということの必要性はある程度周囲に認識されたとしても、じゃあ実際にこの改善を行ったらいくらコストが下がるのか?と言われても明確に答えられないと言う問題もあります(全体最適型の改善は金額換算しにくい)。何となく良くなるのは分かるけど、具体的にいくら原価が下がるのかが分からない状態でこの改善PJに人を張り付けて、他部門の人の協力も得ながら活動を進めていくのにはかなり大きな困難があるわけです。いわゆる守旧派と呼ばれる人たちは、そこを突いてきますからね。

ですから「勇気」が必要なわけです。周囲から色々言われるかもしれないけど、大きな志を持って改善に取り組まなければ大きな成果は手に入れられないのです。そしてこのような取り組みを現実的に推進できるは誰かと言うと、もうわかると思いますがトップ(社長、もしくはそれに準じる人)しかいないわけです。

トップが旗を振って、複数部門の利害を調整しながら、ある時は強いトップダウンを出しながら進めて行かないと実現できないわけです。

今回のセミナーは、トップが強い覚悟を持って改善に取り組まなければ大幅なコスト構造の転換は実現できませんと言う内容であり、そしてその改善を上手に運営ていくためのヒントをお話しするセミナーでした。

セミナー後には多くの感想をいただいたので、そのうちまた同じ内容でセミナーを行うかもしれません。その時はまた多くの人に参加していただきたいと思っています。